もやもや日記

iQOS(アイコス)、禁煙、医学部、ラジオについて気になったことを書いていきます。

心不全と気管支喘息の鑑別

medu4.com

 

111回医師国家試験で、気管支喘息とうっ血性心不全を鑑別するさいに必要な身体所見を答えさせる出題があります。

メディックメディアによると、正解率は66.5%で、合否を分けるような問題だったのではないかと思われますが、近年の国家試験らしい出題なのではないかと思います。

近年の国家試験らしい出題というのは、キーワードだけで解ける従来型の問題とは違って、選択肢全部間違ってないんだけど、まず最初にやる治療はこれ、とか、一番特異度の高い検査はこれ、とか、そういう考えさせる問題です。

 

初見のときは、Ⅳ音の出現と起坐呼吸とで迷いましたが、Ⅳ音は左房の圧負荷により出現するということを踏まえると、気管支喘息には見られないだろうと思って、Ⅳ音にしました。

起坐呼吸といったら、心不全のイメージでしたが、気管支喘息でも出現するようですね。心不全では静脈還流量が低下するからという理由ですが、気管支喘息では異なるメカニズムによって出現しているみたいですね。

 

呼吸困難が臥位で増強し,起坐位または半坐位で軽減するという臨床的徴候。一般に左心系の機能低下,僧帽弁膜症などによる左心不全の主要徴候として知られている。左心不全の状態で臥位をとると,右心系への静脈還流の増加,これによる肺血流の増加から,肺うっ血,肺コンプライアンスの減少をきたし,呼吸仕事量の増大を招く。この変化が起坐位では軽減するため,患者は自ずから起坐位をとろうとする。ただし,起坐呼吸は左心不全に特異的なものではなく,気管支喘息や肺炎,気管支炎などでもみられる。これらの疾患では肺血流量の問題ではなく,気道分泌物の喀出が臥位では困難となることが原因と考えられている。

起坐呼吸 日本救急医学会・医学用語解説集

 

そして、この問題を踏まえて、気管支喘息の既往がある患者で、気管支喘息の急性増悪か、それとも急性心不全かを鑑別させる臨床問題が出題されるのではないかと思っています。

連門で最後に、次のような治療を答えさえる問題で、さらにβブロッカーを気管支喘息や急性心不全の治療薬に選ばせるようなひっかけの選択肢、なんかあるあるじゃないですかw

ちなみに、この問題についても、正解率は6割強とのことらしいです。

 

medu4.com

 

鑑別のポイントとしては下記のサイトに詳細に書いてありましたので、引用しておきます。

 

□まず一つ目は自覚症状です。心不全による呼吸困難の特徴の1つに起坐呼吸があります。坐位になると静脈還流量が減少し前負荷が軽減することにより呼吸が楽になるため心不全の患者が経験的にとる体勢です。しかし起坐呼吸は気管支喘息の発作時にもよくみられます。そこで「臥位になると呼吸が苦しくなる」や「夜息苦しくて眠れない」、「就寝後2~4時間ほどで呼吸困難で目が覚める」などの訴えは心不全を示唆する症状であり注意して問診します。

□二つ目に聴診所見です。心不全のすべてではありませんがⅢ音やⅣ音が聴かれることがあります。左側臥位でベル型を用いて聴診すると低調な音として聴かれます。また肺野において「プツプツ」という水泡音(湿性ラ音)が聴かれればこれも心不全を示唆する所見です。

□三つ目に頸静脈怒張と浮腫です。頸静脈の観察により中心静脈圧(CVP)の推定を行うこともできます。45度の半坐位で頸静脈怒張が観察されればCVPは10~12cmH2O、坐位で観察されれば13~15 cmH2O と推定されます。半坐位よりも高い姿勢で頸静脈怒張がみられれば心不全が疑われます。浮腫は下腿に出現しやすく、圧痕が残るpitting edemaが特徴です。

□四つ目に脈拍数と呼吸数です。安静時の脈拍数100回/分以上は心不全の可能性を示唆し、呼吸数28回/分以上は呼吸器疾患の可能性を示唆します。

息切れがする患者さんで、呼吸器が原因か心臓に問題があるかを簡単に見極められる方法はありますか | 診療のヒント100 | 循環器最新情報 | 公益財団法人 日本心臓財団

 

それか、今回の誤選択肢である起坐呼吸について、気管支喘息でも心不全でも共通してみられる所見はどれか、というマイナーチェンジで出題される可能性もあるかもしれませんので、気管支喘息でも起坐呼吸が出現することは覚えておきたいですね。

 

ちなみに、心不全では呼気性の喘鳴を認めることがあるのですが、これについて最近の国試で出題されています。

 

medu4.com

 

気管支喘息は呼気性の喘鳴でしょうか?吸気性の喘鳴でしょうか?もちろん、呼気性の喘鳴ですよね。

気管支喘息と心不全の共通の所見として押さえておいてもいいかもしれません。