もやもや日記

iQOS(アイコス)、禁煙、医学部、ラジオについて気になったことを書いていきます。

今日の処方 ドラッグストアにおける火傷の初期対応

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処方箋ではないのですが、昨日顔を火傷したお客さんがいらっしゃいました。

10代後半の女性で、フライパンが頬にあたってしまったとのことです。

話を聞いてみると、バイト中に起こった、ついさっきの出来事のようでした。

 

やけどの初期対応

お客さんはすでにアイスノンで幹部を冷やしていたのですが、やけどの初期対応としては、当たり前ですが、まずは熱源を断つこと、そして冷やすことです。

 

www.jsbi-burn.org

 

まず行うべきことは? 熱源を断つこと!

熱湯による場合
多くの場合、熱源はすでにありませんから、次に速やかに冷やすこと!

火炎による場合
速やかに冷やすことは同じです。しかし、まだ衣服が燃えている場合、そしてすぐに水をかけて冷やすことができない場合、すぐに地面上で転がり、火炎を消火させます。立ったままでは火炎が消えず、その高熱が作用し続けます。地面を転がれば熱が分散し、消火もしやすくなります。その間に、近くにいる人は消火用の水を用意しましょう。


次に冷やすこと!

小範囲の創部(傷)であれば、水道水で。

広範囲であれば浴室のシャワーで。
冷やす時間はいろいろな意見がありますが、一般的には最低5分から30分くらいを、できれば流水で冷やします。ただし小児の場合、長く広範囲を冷却すると低体温をきたし、意識障害や不整脈を起こすことがあります。そうした症状に注意しながら、過度の冷却とならないようにしてください。

 

やけどの評価

次にやけどの評価ですが、評価の軸としては熱傷面積熱傷深度ですね。

患者さんの頬全体が発赤しており、熱傷面積が1%、水泡びらんもみられず発赤のみで、患部にも軽く痛みを感じるということだったので、Ⅰ度の軽度熱傷と考えられたんですけど、その判断に、正直自信がありませんでした

 

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http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t185/201211/527595.htmlより引用

 

患部が顔で10代の女性ということもあり、早めのクリニック受診を勧めましたが、明日の夜にしかいけないので、とりあえず何かないかと言われましたので、キズパワーパッドの一番大きいサイズを勧めました。

ただ、一番大きいサイズのキズパワーパッドでも、正直ぎりぎりの大きさだったので、帰る間際にも、早めに病院を受診してくださいと、念を押してお帰りいただきました。

なお、キズパワーパッドは使い方が普通の絆創膏とは異なり、特殊なので初めて使うかたは注意してください。

 

キズパワーパッド取扱説明書

 

1時間後にお客さんが戻ってくる

お客さんが帰られて1時間ぐらいたつと、そのお客さんは頬に大きなキズパワーパッドをつけて、戻ってきました。

何か問題があったのかとビビりながら話を聞くと、どこの皮膚科がいいのか教えてくださいとのことでした。

僕の通っている大学病院出身の皮膚科の先生のクリニックを紹介して、お客さんは帰っていきました。

 

ガイドラインを調べてみた

日本皮膚科学会の熱傷診療ガイドラインでドラッグストアで購入できそうな商品に関連する項目を調べてみました。

 

ステロイド

ステロイドについては、エビデンスレベルはそこまで高くないものの、とりあえずの対応としては選択肢の一つとして推奨されるようです。

ただ、RCTで効果ないって言われちゃってるんですね。。。

 

CQ24 I 度熱傷,浅達性 II 度熱傷に対して,ステロイド外用薬は有用か?
推奨文:ステロイド外用薬の抗炎症作用を期待し,受傷初期ではその使用を選択肢の 1 つとして推奨する.
推奨度:C1


解説:
・熱傷に対するステロイド外用薬の有用性についてはエキスパートオピニオン1)~3)しかなく,エビデンスレベル VI である.一方,熱傷を含む物理的損傷を受けた皮膚に対してステロイド外用薬の抗炎症効果はないとするランダム化比較試験(二重盲検を含む)も 3 編4)~6)ある.しかし,I 度ないし II 度熱傷に対するステロイド外用薬の有用性を指摘するエキスパートオピニオンが大勢をしめること,本邦においては熱傷に対しステロイド外用薬を数多く使用してきたことなどを考慮した.
・山中らは I 度熱傷では組織の破壊と炎症を早期に取り除くため,受傷直後より very strong 以上のステロイド外用薬を短期間用いることを勧めている1).田熊らは I 度熱傷で発赤・疼痛が強い部位には,ステロイド外用薬を用いることを勧めている2).また,等らはI 度ないし II 度熱傷において,ステロイド外用薬は急性期の発赤浮腫の抑制,疼痛の軽減に優れた効果はあるが,創治癒の遷延作用,上皮化抑制作用も有することから,その使用期間は受傷当初の 2 日間が限度としている3)

 

さらに、市販のステロイド外用では、フルコートに代表されるstrongが最も強く、ガイドラインの根拠となる論文で使用されているvery strongよりも弱いので、それも微妙ですし、そもそも市販の薬では創傷部位にステロイドを使うことが禁忌とされている場合が多いので、勧めにくいかもしれませんね(実際にフルコートfの添付文書には、湿潤、ただれのひどい患部には使用しないでくださいとの注意書きがあります)。

 

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http://www.mt-pharma.co.jp/flucortf/pdf/flucortf.pdfより引用

 

ドレッシング材

ドレッシング材とは「創における湿潤環境形成を目的とした近代的な創傷被覆材をいい、従来のガーゼは除く」と定義されています(日本褥瘡学会)。キズパワーパッドをドレッシング材というのか不明ですが、キズパワーパッドもドレッシング材と同じハイドロコロイド素材を使っています。

ガイドラインでは熱傷Ⅱ度に対して、ということなのですが、こちらもやはり選択肢の一つとして考慮されるようです。

 

CQ20 II 度熱傷に対してドレッシング材は有用か?
推奨文:ハイドロコロイド,ハイドロジェル,ポリウレタンフィルム,キチン,ポリウレタンフォーム,および,アルギン酸塩,ハイドロファイバーⓇなどのドレッシング材を II 度熱傷に対する局所療法の選択肢の 1 つとして推奨する.
推奨度:C1
解説:
・ハイドロコロイドには 5 編,ボリウレタンフィルム,ハイドロジェルにはそれぞれ 2 編のランダム化比較試験1)があり,いずれもエビデンスレベル II である.
しかしながら,油脂性基剤の軟膏と比較して創治癒までの期間に有意差がみられなかったことより,推奨度C1 とした.

 

ワセリン

ワセリンもある程度、有用なようです。

おそらく、湿潤環境に保つという目的で使われるのだと思われますが、あくまでも初期対応になるので、Ⅱ度熱傷なら早めに受診されたほうがいいかと思います。

 

CQ21 II 度熱傷の治療にはどのような外用薬を用いればよいか?
推奨文:II 度熱傷の初期治療には,ワセリン,酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレンなどの油脂性基剤軟膏を選択肢の 1 つとして推奨する.(C1)

 

まとめ

タイトルに「ドラッグストアにおける火傷の初期対応」としましたが、ドラッグストアでできることはそれほど多くありません。

まずは、冷やして、熱傷の重症度分類をすることが重要ですが、そもそも、薬剤師は法律上、診断はできませんし、自己判断でも重症度が間違っていたら、瘢痕が残ってしまう可能性もあるので、不安を感じた場合にはすぐに病院を受診するようにしましょう。

 

● 冷水で5~30分程度冷却(してもらうように説明する)。

● 熱傷の評価と対応

受傷直後かつ1%未満(キズパワーパッドで覆える大きさ)でⅠ度の軽度熱傷であれば、キズパワーパッドをすすめる。

ただ、顔などの目立つ部分や粘膜、キズパワーパッドが使えない場所であれば受診勧奨。

水泡やびらん、白くなっていたり、痛みを感じないなど、Ⅱ度以上の熱傷が疑われるような場合には、すぐに受診勧奨。