もやもや日記

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O-157の後遺症で死亡例、大腸菌感染の合併症の溶血性尿毒症症候群

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堺市の学校給食が原因で1996年7月に発生した病原性大腸菌Oオー157による集団食中毒で、市教委は26日、後遺症のため昨年10月に亡くなった同市北区の女性(25)の遺族と、補償金約6275万円を支払うことで合意したと発表した。これで、補償対象9119人のうち、4遺族を含む9108人と合意した。

 市教委によると、補償金の内訳は慰謝料3164万円、逸失利益2884万円など。発生翌春の合意で支払った補償金や、その後の治療費は含まない。

 女性は小学1年で感染後、入院中に腎機能が低下する溶血性尿毒症症候群を発症。後遺症で高血圧が続き、降圧剤を服用しながら通院していたが、昨年10月10日、体調が急変、翌日腎血管性高血圧で亡くなった。

 

当時僕は小学生だったと思いますが、ニュースで連日O-157のニュースが取り上げられていて、カイワレが犯人扱いされていたことをなんとなく覚えています。

 

O-157と溶血性尿毒症症候群の関係

溶血性尿毒症症候群ってなんだっけ?となったのでイヤーノートで確認しました。

 

概念

急性腎不全、細小血管障害性溶血性貧血、血小板減少症により特徴づけられる症候群で、腸管出血性大腸菌感染に続発してみられることが多い。病態はTTPと類似しているが、より重篤な腎障害を呈し、小児でみられることが多い 

 

CBTで勉強したはずなのに、すっかり忘れていますね。

治療で、抗菌薬の投与は議論が分かれているようです。

溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドラインから引用)

 

 小児の EHEC 感染患者に対する治療は保存的治療が中心である.
 抗菌薬の投与によって細菌の菌体から毒素が放出されることから,抗菌薬投与は HUS 発症の危険因子であるとして,米国のガイドラインでは抗菌薬の投与は推奨されないa,b).
 1981 年 1 月~2001 年 2 月までに報告された海外で実施された臨床研究を対象としたメタ解析では,抗菌薬投与は HUS 発症率に影響を与えないとされ,適切にデザインされたランダム化比較試験により検証すべきと結論している1).EHEC感染症患者に対する抗菌薬使用群と非使用群の 2 群での HUS 発生頻度を比較したランダム化比較試験では,HUS 発症頻度は両群間で有意差がなかった2).また,2011 年に欧州で大流行した STX 産生大腸菌 O104:H4 感染患者を対象とした症例対照研究では,抗菌薬投与群(n=52)は,非投与群(n=246)と比較して,痙攣の発生率,外科的介入率,死亡率が低く,便中の細菌の残存日数が短かったことが報告されている3).
 一方,腸管出血性大腸菌 O157 感染患者を対象とした複数のコホート研究では,抗菌薬投与群は非投与群と比較して,HUS 発症率が高かったことが報告され,抗菌薬投与は HUS 発症の危険因子であるとされている4~7).これらの研究では,抗菌薬としてβ—ラクタム薬(ペニシリン系,セファロスポリン系),キノロン系薬剤,ST 合剤等が使用されている.また,最近の in vitro のデータでは,キノロン系抗菌薬が志賀毒素産生を促進するという報告やアジスロマイシンは志賀毒素の産生を誘導しなかったという報告がありc,d),抗菌薬の使用とその選択には注意が必要である.
 しかしながら国内では,EHEC 集団感染の際に,抗菌薬,特にホスホマイシンが使用され8),後方視的検討によるとホスホマイシンを下痢発症早期(特に 2 日以内)に使用した群における HUS 発症率が抗菌薬を全く使用しなかった群に比べ低いことが示されている9).
 海外と国内では抗菌薬投与の適応が異なるため,2 者の単純な比較は難しく,抗菌薬投与が HUS 発症予防に有効か否かについては結論が出ていない.今後のさらなる検証が必要であるため,推奨グレードを該当せずとした.
 患者の家族等の保菌者に対しては,その人の社会生活等を考慮して,感染拡大を防止するために抗菌薬投与を考慮する.

 

より、上位の疾患概念として、血栓性微小血管障害症があります。

血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy: TMA)|慶應義塾大学病院 KOMPASより引用)

 

血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy: TMA)は、1)細い血管内に血小板のかたまりが生じ(細血管内血小板血栓)、2)血小板が破壊されて減少し(破壊性血小板減少症)、3)そこで赤血球が破壊されて貧血(細血管障害性溶血性貧血)になるという、この3つの特徴をもつ病気の総称です。このように細い血管が障害されることで、腎臓や脳神経を中心とした症状が出ます。TMAの範疇に含まれる有名な症候群として、1924年にMoschcowitzによって最初に報告された5徴候(血小板減少、微小血管障害性溶血性貧血、発熱、腎機能障害、精神神経障害)を伴う血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)と、3徴候(血小板減少、微小血管障害性溶血性貧血、急性腎不全)を伴う溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome: HUS)があります。

 

 溶血性尿毒症症候群の予後

予後についても調べてみました(溶血性尿毒症症候群全国調査研究報告書から引用)。

 

我が国における小児溶血性尿毒症症候群 HUS 患者の実態を明らかにし、重症化(透析施行、中枢神経障害)の予測因子、治療方法を検討する目的で、2001 年1月から 2002 年 12 月に発症した HUS の全国調査を施行した。

HUS の症例数は、2001 年:134 例、2002 年:132 例、合計 266 症例であり、二次調査にて 132 名(47%)について回答が得られた。132 名のうち、前駆症状として下痢を伴う典型的 HUS 127 名について検討を行った。平均年齢は 4.7 歳であり、集団発生はなく、すべて散発例であった。発症季節は、7月から9月の夏期に多発していた。起因菌は腸管出血性大腸菌 O-157 が 92%を占めた。

HUS の臨床症状として下痢は 100%、血便は 80%、乏尿・無尿は 47%、発熱は 38%、肉眼的血尿は 24%に認めた。透析施行例は 35 例(27%)であり、中枢神経障害発症例は 30 例(24%)、両者を合併したものは 18 例(14%)であった。平均観察期間 16.7 ヶ月での予後は、異常なしが 101 例 80%、後遺症ありが17 例 13%、不明が 9 例 7%であった。後遺症の内訳は、尿異常(蛋白尿、血尿)が 11 例、腎機能障害を残した例が1例、神経学的障害(てんかん、脳性麻痺、脳梗塞)が 3 例、死亡例は 2 例であった。

重症化を予測する因子は、HUS 発症時の検査所見で血清ナトリウム 130m Eq/l 以下、ALT が 70 IU/l 以上は透析加療が必要となる独立したリスクファクターであった。また透析加療が必要であること、発症時の CRP が 5.0 mg/dl 以上は中枢神経障害を発症する独立したリスクファクターであった。これらの因子を満たす場合は HUS が重症化することを念頭に置き、早期にかつ注意深く治療にあたる必要がある。

日本小児腎臓病学会の腸管出血性大腸菌感染に伴う HUS の診断・治療のガイドラインにおおむね準じた治療がされていると思われた。しかし、過去の調査と比較すると死亡率の改善はなく、今後もさらなる検討が必要と思われる。

 

母集団が少ないので、ここから正確な死亡率を測定するのは難しいかもしれませんが、127例中、後遺症を残している例が17例、死亡例が2例であることを考えると、なかなか油断のできない疾患だと思われます。

 

今日の成果

テコム循環器 1コマ

(貯金7)  

セレクト臓器別講座達成度 28.3%(40/141)

 

貯金1つ減らしましたが、ようやく循環器終わりました。

最近モチベーションが全然上がりませんが、明日から内分泌なので切り替えてがんばります。