もやもや日記

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ロキソニンの副作用で腸閉塞が報告されたけれども

ロキソニンの副作用の件がネットで話題になっていますね。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

blog.livedoor.jp

 

みんな大好きロキソニン

ドラックストアでアルバイトをしていると、ロキソニンはよく売れます。

まぁ確かにしんどいときに飲むと楽になりますよね。

僕はほとんど買いませんが。

理由は高いからです。

貧乏な僕にはプライベートブランドのイブプロフェン製剤で十分です。

 

ニュースを見ていて意外に思ったことは、ロキソニンは安全な薬だと思っていたのに、という声が多かったこと。

僕は薬剤師としての経験がアルバイトしかないという言い訳をして話をしますが、そういう副作用が報告されることもあるだろうなという印象です。

というのも、薬が発売された後に、新規の副作用が報告されるということはよくあることだからです。

 

当たり前のことを言いますが、頻度が高い・低いの違いはあるけれども、リスクがない薬なんてありません。

ロキソニンは確かに比較的安全な薬です。

ただし、全くリスクがない薬でもありません。

 

ロキソニンの添付文書

 

重大な副作用の項目に挙げられている疾患は、致死率の高いものも含まれています。

例えば、重大な副作用の項目の中毒性表皮壊死融解症(TEN)は発症すると死亡率は約20%とのことです

そして、ロキソニン(一般名ロキソプロフェン)はTENが発症となった原因で報告数の多い薬剤として、厚生労働省がまとめています(もちろん、服用されている母数が大きいことも大きな要因ではあるでしょうが)。

 

SJS・TENの被疑薬として報告があった医薬品は265成分であり,報告数の多い医薬品を成分別及び薬効分類別に表2及び表3に示します。

 

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比較的安全と言われているロキソニンですが、頻度としては少ないかもしれないけれども、 従来から重大な副作用があるってことは知っておいてもいいかもしれません。

  

実際の症例

この副作用の症例について調べていたら、次のような症例報告が見つかりました。

症例1 

 

ci.nii.ac.jp

 

要旨:症例は 74 歳の女性.腰部脊柱管狭窄症に対して,ロキソプロフェンとオメプラゾールを内服していた.嘔吐と腹痛を自覚し,前医を受診した.CT にて不完全イレウスと診断され,NG チューブ挿入と絶食にて軽快したが,食事を再開したところ症状が再燃したため手術目的に当院紹介となった.腹膜炎の症状は無く,造影 CT 検査で腸管の壊死や穿孔を示す所見は認められなかったため,イレウスに対して保存的治療が可能と判断し,術前検査で認められた重度の大動脈弁狭窄症に対する手術を先行させた.第 18 病日(初回術後 8 日目)に腹部造影 CT でイレウスの評価を行ったところ,来院時と比較して改善を認めなかったため根治手術の適応と判断し,第 26 病日(初回術後 16 日目)に腹腔鏡補助下回腸部分切除術を施行した.本症例では腹部 CT で,狭窄部を境に腸管の口径差が認められた.小腸液は流動性が良いために不完全なイレウスの状態となり,待機的に治療が可能となったものと考える.こういった報告はなく,文献的考察を踏まえて報告する.

 

イレウスは、今回報告された副作用である腸閉塞のことです。

考察では次のように述べられています。

 

カプセル内視鏡を用いたいくつかの研究より,健常人への NSAIDs の投与 2 週間で,対象の 50~68% に小腸粘膜障害をきたすと考えられている3~7).NSAIDs による小腸粘膜障害は胃粘膜障害と機序が異なるため,PPI 投与では抑制できないとされている4, 8).小腸では,NSAIDsの上皮細胞に対する直接作用として,ミトコンドリアの機能障害によってアポトーシスや細胞間の障害が起こり,続いて粘膜透過性の亢進がおき,上皮内や粘膜下に腸内細菌や消化液が侵入し炎症が惹起される9).また NSAIDs の COX-1 阻害により,PG(prostaglandin)が減少し腸上皮粘膜の粘液産生低下や血流低下が生じ,粘膜障害をきたすという報告もある10, 11).基本的には NSAIDs の服用中止により改善することが多い.近年予防的にミソプロストール,レバミピドなどの投与に関する試験報告がされているが,有効性は確立していない12).また NSAIDs 長期投与により粘膜障害と治癒を繰り返す場合,しばしば膜様狭窄が多発するため外科的手術がすすめられるという報告がある13)

 

NSAIDsとは、非ステロイド性抗炎症薬のことで、ロキソニンとかイブ(一般名イブプロフェン)とかの痛み止めの総称です。

参考文献まではたどっていませんが、冒頭で述べられている、内視鏡レベルでは投与2週間で約半分に小腸粘膜障害がみられるというのは結構驚きですね。

つまり、症状は出てないけれども、実際に消化管は傷んでいる可能性もある、ということです。 

そして、病院ではロキソニンとセットで胃薬のムコスタ(一般名レバミピド)が処方されますが、有効性は確立してないんですね、知らなかった。。。

 

症例2 

次の症例はロキソニンではありませんが、別のNSAIDs(一般名ジクロフェナク 商品名ボルタレン)を服用して小腸潰瘍になった別の報告です。

 

altmetrics.ceek.jp

 

症例は60歳男性で,30年来の脊柱管狭窄症でNSAIDs(Diclofenac sodium)を常用していた。腹痛,貧血精査で他院に入院したが,イレウスと診断され治療目的に当院へ転院となった。腹部単純X線検査,腹部CT検査で小腸の著明な拡張と,イレウス管造影で小腸に高度の狭窄像を認めた。転院時,極度の低栄養を認め,転院後に呂律不良,四肢感覚麻痺などの進行性の神経障害が出現したが原因は不明であった。イレウス管留置,高カロリー輸液で改善なく,入院21日目に小腸部分切除術を施行した。術後,神経症状,低栄養を含め全身状態は劇的に改善した。病理所見上,深い潰瘍を認めた。また,非乾酪性肉芽腫などの異常はなく,NSAIDsを常用していることから,NSAIDs小腸潰瘍と診断した。NSAIDs投与中止後は,再発を認めていない。

 

どちらも脊柱管狭窄症に対して、長期間にロキソニン、もしくは別のNSAIDsが投与された症例ですので、さすがに頓服で1回服用しただけで小腸潰瘍になる、とは考えにくいです(もちろん、絶対ならないとは言い切れませんが)。

いずれにしても、長期に服用をする場合は、そのリスクを上げるのはほぼ間違いないと思われますので、ロキソニンをしょっちゅう服用している人は気を付けてください。