もやもや日記

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市中病院希望でも専門医取得のために大学病院に行かざるを得ないかもしれない

新専門医制度がもうすぐ始まる

新専門医制度が延期するとか、しないとかゴタゴタしていますね。

 

新専門医制度、「延期も視野」と日医会長
拙速な改革で、地域医療に混乱を来す懸念

 

日本医師会会長の横倉義武氏は2月17日の定例記者会見で、新専門医制度について、「現状のまま改革を進めると、地域医療の現場に大きな混乱をもたらすことが懸念される。新制度が地域包括ケアシステム構築の阻害要因になってはならない」との危機感を示し、2017年度からの新制度開始について、延期も視野に入れ、まずは地域で研修病院群を形成することが優先課題であると主張した。

 

現行の専門医制度は、各学会が認定している施設で一定期間研修し、専門医試験に通れば専門医が取得できます。

しかし、この施設基準は新専門医制度で大きく変更します。

基幹病院と連携病院によって研修は実施されますが、研修プログラムの作成は基幹病院によって行われるようで、基幹病院に後期研修医として採用される必要があります。

 

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画像はhttp://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000080199.pdfより転載。

 

基幹施設の認定基準

それでは、基幹施設の認定基準はどのようなものでしょうか。

日本内科学会のHPに、その認定基準が掲載されていましたので、転載します。

 

専門研修プログラム整備基準【内科領域】(日本内科学会のHPより)

 

項目23 専門研修施設とプログラムの認定基準

専門研修基幹施設は以下の条件を満たし、過去の専門医養成機能の実績を勘案して、日本専門医機構内科領域研修委員会が決定する

1)専攻医の環境

  • 原則、初期臨床研修制度の基幹型研修指定病院であること
  • 施設内に研修に必要な図書やインターネットの環境が整備されていること
  • 適切な労務環境が保障されていること
  • メンタルストレスに適切に対処する部署が整備されていること
  • ハラスメント委員会が整備されていること
  • 女性専攻医が安心して勤務できるような休憩室や更衣室等が配慮されていること
  • 敷地内外を問わず保育施設等が利用可能であること


2)専門研修プログラムの環境

  • 指導医が 3 名以上在籍していること
  • プログラム管理委員会を設置して基幹施設,連携施設に設置されている研修委員会との連携を図ることができること
  • 基幹施設内において研修する専攻医の研修を管理する研修委員会を設置すること
  • 医療倫理・医療安全・感染対策講習会を定期的に開催して、専攻医に受講を義務付け、そのための時間的余裕を与えていること
  • 研修施設群合同カンファレンスを定期的に主催し、専攻医に受講を義務付け、そのための時間的余裕を与えていること
  • CPC を定期的に開催し、専攻医に受講を義務付け、そのための時間的余裕を与えていること
  • 地域参加型のカンファレンスを定期的に開催し、専攻医に受講を義務付け、そのための時間的余裕を与えていること
  • プログラムに所属する全専攻医に JMECC 受講の機会を与え、専攻医に受講を義務付け、そのための時間的余裕を与えていること
  • 施設実地調査に対応可能な体制があること
  • プログラムに指導医の在籍していない施設(特別連携施設:診療所や過疎地病院、あるいは研究施設等を想定)での専門研修が含まれる場合には、指導医がその施設での研修指導を行えるような工夫をしていること(テレビ電話など)

 

3)診療経験の環境

  • カリキュラムに示す内科領域 13 分野のうち 7 分野以上で定常的に専門研修が可能な症例数を診療していること
  • 70 疾患群のうち 35 以上の疾患群について研修できること
  • 専門研修に必要な剖検を適切に行っていること

 

4)学術活動の環境

  • 臨床研究が可能な環境が整っていること
  • 倫理委員会が設置されていること
  • 臨床研究センターや治験センター等が設置されていること
  • 日本内科学会講演会あるいは同地方会に年間で計 3 演題以上の学会発表をしていること

 

項目31 診療実績基準(基幹施設と連携施設)

症例数・疾患・検査 / 処置・手術など基幹施設:地域の中核をなす急性期病院で以下を満たす

  • 病院病床数:原則、300 床以上
  • カリキュラムに示す内科領域 13 分野のうち 7 分野以上で定常的に専門研修が可能な症例数を診療していること
  • 70 疾患群のうち 35 以上の疾患群について研修できること

  

僕はまだ医師として働いたことがないのでわかりませんが、これはなかなかハードルが高いと言われています。

実際に、初期研修の研修プログラムを作成している医師の方に話を聞く機会があったのですが、その病院はへき地であるため、300床はクリアしていても、指導医が集まらずに定常的に専門研修をすることが難しいとおっしゃっていました。

そりゃ、新専門医制度がへき地での医療崩壊を促進するっていう批判も出てきますよね。

また、CPCの定期的な実施とJMECCの受講も難しいようです。

 

今まではがんセンターのような専門性の高い病院や、市中の中規模の病院でも専門医を取得することが可能でした。

現行の制度では、300床未満の病院でも、専門医をとれる病院なんてザラにありますからね(というか数としてはおそらくこちらの方が多いと思われます)。

しかし、これらの病院は、今後、後期研修の基幹病院となることができず、連携病院として生き残っていくしかありません。

今後は、病床数が300床以上で診療科をフルラインナップしている大学病院や市中の大規模病院に、後期研修先が限られることになります。

 

次のような意見も出てくるのも当然でしょうね。

 

新専門医制度、「大学医局」復権の懸念 - 末永裕之・日病副会長に聞く◆Vol.1
地域医療に支障を来さない配慮必要

 

それでもなお「多彩なプログラムを拒む状況がある」など、いまだ「残る疑問」があります(表)。

大学への入局も、専門医制度とは関係ないとされていますが、大学病院が基幹施設になり、そこで一定期間、研修をする場合、入局していない人が不利益にならない保障はありません

日本専門医機構の中に、専攻医の身分を考える委員会ができてはいますが、基幹施設で採用した専攻医が、連携施設で研修する場合、その身分はどうなるか、給与はどこから出すかなどが決まっていないので、現場の医療機関は困っています。

さらに、前期研修への影響も想定され、研修先を選ぶ際に、専門医研修までそのまま残れる基幹施設が有利になることもあり得るでしょう。

 

入局していない人が不利益にならない保障はありませんって、結構な脅しに聞こえるのは僕だけでしょうか。

 

今後のマッチング・後期研修の傾向の予想

マッチングや後期研修の選択において、市中病院の人気と大学病院の不人気は今後も続くと思われます。

しかし、初期研修は市中病院で終えたけれども、その市中病院は後期研修の基幹病院ではないため、別の市中病院を探さなければいけないという事態に陥る初期研修医も多くなると予想されます。

ただし、基幹病院となりうる市中病院は、数が少なく、不本意ながらも専門医を取得するために大学病院に行かざるを得ない初期研修医も一定数いるかと思われます。

つまり、市中病院で後期研修を希望する初期研修医は、優秀層がそのまま市中病院で、それ以外が大学病院へいくという流れになるのではないでしょうか(もともと大学病院志望の医師は除く)。

 

ここで大事なのが、初期研修先選びですよね。

上の記事でも指摘がある通り、初期研修先として最初から大規模な市中病院にいけば、プロパーとしてそのまま後期研修もその大規模な市中病院に採用される可能性は高くなります。

したがって、専門医が取得できる大規模病院の初期研修のマッチングは、今後さらに激化していくと予想されます。

 

マイナー科の専門医取得はどうなる?

マイナー科で最も新専門医制度への対応が進んでいるのは麻酔科だと思われます。

麻酔科の専門医の基幹病院の認定施設の要件は以下の通りです。

 

日本麻酔科学会 日本麻酔科学会について:専門医制度が変わります

 

■プログラムを実施する施設
1) 責任基幹施設(単一施設)
プログラム責任者が研修プログラムを作成し,その遂行に責任を負う責任基幹施設は,以下の条件を満たす施設とする.
 (1)麻酔科管理症例が年間500 例以上あること
 (2)複数の外科系診療科があること
 (3) 麻酔科管理症例1,000 例に対して1 名の麻酔科指導医(以下,「指導医」という)または専門医が在籍すること(1,000 例以下の施設は1 名在籍すること)
 (4) 1 名のプログラム責任者(指導医の資格を持つ部門長,診療責任者ないしはこれに準ずるもの)がいること
 (5)麻酔科認定病院(以下,「認定病院」という)であること
 * 任基幹施設は,基幹研修施設と関連研修施設を指導し,別に定める推奨カリキュラムに従った専門医研修教育を行う.
 * プログラム責任者はプログラム全体の指導体制,内容,評価に関し監督責任を持つと同時に,当該責任基幹施設においては研修プログラム管理者としてその指導体制,内容,評価に関しても責任を持つ.
 * 責任基幹施設は他の研修プログラムへの参加は関連研修施設としてのみ認められ,基幹研修施設として参加することはできない.
2)基幹研修施設(複数施設)
プログラムの中核的な施設として十分な臨床実績と指導体制を有する施設基幹研修施設は,以下の条件を満たす施設とする.
 (1)麻酔科管理症例が年間500 例以上あること
 (2) 麻酔科管理症例1,000 例に対して1 名の指導医または専門医が在籍すること(1,000 例以下の施設は1 名在籍すること)
 (3) 1 名の研修プログラム管理者(指導医または専門医の資格を持つ部門長,診療責任者ないしはこれに準ずるもの)がいること
 (4)認定病院であること
 * 研修プログラム管理者は当該基幹研修施設での指導体制,内容,評価に関し責任を持つ.
 * 基幹研修施設は複数の研修プログラムに基幹研修施設として参加することができる.
3)関連研修施設(複数施設)
必要に応じて部分的な補完ができる施設
 * 関連研修施設は,認定病院であること
 * 関連研修施設での研修は,原則として2 年を超えないものとする.

  

このように、症例数の要件はあるものの、病床数の要件はありません。

ただし、症例数をクリアするためには、大学病院か市中の病床数300床以上の大規模病院であることが必要になってくると思われます。

 

僕の志望度の高い放射線科の専門医は、議論が進んでいるか調べてもあまり情報が出てきませんでした。

大変心もとない情報ではありますが、島根大学の資料では次のように書かれています。

 

http://www.allshimane.jp/files/20150929090014.pdf

 

新専門医制度下の放射線科専門医制度について

  1. 放射線科専門医制度は新専門医制度下でも大筋では変更点はありません。
  2. 放射線科はその高い専門性を厚労省から認定されており、他とは異なる研修プログラム・試験制度になっています。
  3. まず、3年間の専門研修で受験資格を得、試験合格により放射線科専門医になります。
  4. その後、更に2年の専門研修で受験資格を得、試験合格することで放射線診断専門医の資格を取得できるというシステムになっています。

 

大筋の変更点はありませんってw

ほんとかなーと、正直僕は疑ってみていますが。

大学病院に行きたくない僕としては、ほんとならうれしいんですけどね。

確かに島根大学のサイトにあるように、放射線科や病理は少し特殊かもしれません。

これらの科については、市中の大規模病院に限らずに、がんセンターなどの専門性の高い病院でも専門医取得の道を残してほしいとは思いますが、実際どうなるかは蓋を開けてみないとわからないでしょう。

 

予定では、2017年から開始する新専門医制度です。

新年度になれば、各病院が2017年の後期研修医の採用に乗り出すことでしょう。

今後、各病院の動向を興味深く見守っていきたいです。